2007年10月10日

戦争の記憶

 私は基本的にTVで別段見るものがない時はNHKをつける。特に22時以降は面白い番組やその再放送をやってたりするのでなおさら。

 で、昨日深夜「証言記録・兵士たちの戦争(6)フィリピン極限の持久戦」をやっていた。シリーズらしい。ミスった、最初から見ておくべきだった。

 印象的だったのは斬込み(戦死覚悟の白兵突撃)で玉砕した連隊の元中隊長が何名か出演されていたこと。旧日本陸軍の中隊長ならば大尉。野戦昇進だったとしても中尉。戦争末期、将校の不足があったとしても当時のそれなりのインテリ層である。
 
 中隊長とは一番やりがいがある役職だと言われる。陸軍の場合、通常200名程度を指揮するが自分の「声」の届く範囲はこれくらいが限界でこれ以上になると戦略レベルのお話を考える人になる。かといってこれ以下の単位だと実際に部隊をまとめるのに苦労して戦術レベルの云々が出来なくなる。

 逆に言えば、200名からの命を常に身近で一身に預かる人ということになるのが中隊長。これ以上(少佐以上)の階級だとだんだん兵隊から遠くなるし、これ以下(中尉、少尉)なら自分の部隊だけのことに精一杯で自分が責任を持つ範囲がぐっと狭くなるというわけ。

 というわけでうろ覚えだが3500名近い連隊のうち生き残り220名程度ということは、もう全滅ですらない殲滅。文字通りの玉砕。(ちなみに軍事的には「全滅」とは定員の3割程度を失った状態。それは普通、3割の人員を失った時点で戦闘能力がないと判断されるから。「そんなもん?」と思うでしょうがサッカーで3人退場した場合、野球で6人で守備につく場合、まともな試合が出来ないのと同じ。全滅→潰滅(5割損失)→殲滅(消滅)の順だったと思う。全滅は補充・再編が必要で、潰滅は補充・再編以上の手当てが必要で、殲滅は部隊消滅。)

 ここまで冗長な説明で長くなったけれど、私が言いたいのは、そういった中隊長と言う役職にあった人は自分の口から身近な部下たちに直接命令した人たちであると。しかもその命令で、ほとんど全員死んだと言っていいわけで。そういった人がTVで体験を話すということは貴重だと思う。自分の責任に苛まれる人のほうが多いだろうから…。
 
 そしてその言葉には重みがある。

 もちろんそもそも、中隊長に責任があるというのは戦術レベルのお話でそもそも日本軍は戦略レベルでお話になっていなかった(兵站めちゃくちゃだった)のだから中隊長に責を負わせるのは酷なのだけれど…。

 生の声は貴重である。もう残された時間が少ないのだから。
posted by nyago at 16:23| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | TV・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
俺は全部見たよ。
Posted by みやもと at 2007年10月11日 21:10
そうか、さすがやな。感心するわ。
Posted by nyago at 2007年10月11日 23:01
いやいや。あれ見てここまで論評できる方が全然すごいやろ。
戦争体験者の生の話をもっと聞かないとなあ。
Posted by みやもと at 2007年10月14日 20:07
論評ちゅーかウンチクやけどな(笑)

要約すると責任ある立場だった人の言葉だからこそ重いっていいたいだけなんやけど。

そうやな、ちゃんと後の世に真実を伝えるために。
Posted by nyago at 2007年10月18日 02:49
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